【中国】上海市が初の「外国投資白書」 外資の73%「3年内に追加投資」
頭痛い不動産高騰 でも90%が「理想」
中国の上海市に進出している外資系企業の73%までが、今後3年以内に追加投資を検討していることが同市外国投資工作委員会がまとめた「上海外国投資環境白書」で明らかになった。上海を中国ビジネス展開の拠点とみなす外資の増大が背景にありそうだ。一方でオフィスなど市内不動産価格の高騰に過半数の外資が頭を痛めており、上海一極集中のデメリットも出始めている。中国の地方自治体がこうした投資環境調査を行って公表したのは初めてという。
◆収益性も良好
環境投資白書にまとめたデータは、上海市が今年2月から3月に市内に進出済みの外資800社を対象に調査。213社から有効回答を得た。
それによると進出外資の21・6%が「今後3年以内に投資を大きく拡大する」と回答。また「比較的小さい投資を実施する」との51・2%の回答をあわせると、72・8%までが何らかの形で対中投資を3年以内に増やす意向を明らかにした。外資の対中投資意欲がなお旺盛なことを示しているが、「3年内の追加投資は考えていない」との回答も24・9%あった。
また上海市に投資した結果、中国ビジネスの収益が「非常に多い」「比較的多い」と回答した外資企業は57・3%と、全体の6割近くの外資が利益を上げていることもわかった。「収支はトントン」との回答は19・2%だったほか、「比較的小さな赤字」と回答した企業は14・6%、「比較的大きな赤字」は4・2%で、白書では上海を中心とした外資の業績はおおむね良好としている。
◆不動産に悲鳴
しかし、白書では上海の投資環境のマイナス面も浮き彫りにされた。最大の問題は不動産コストで、オフィスなどの「家賃が高い」と指摘する企業は全体の54%に上った。さらに複数回答で44・1%が「土地の価格が高すぎる」と回答したほか、「不動産の高騰が上海の投資環境の最大のネック」とする外資企業も30・5%あった。
上海市内では投機資金の流入などもあり、オフィス関連の不動産価格が年率15%前後の上昇を示すなど、外資企業の投資意欲をそぐ要因にもなりつつある。白書によると2005年の上海市の平均賃貸料は1平方メートル当たりの日額で0・84ドル。仮に広さ300平方メートルのオフィスを借りると、月額家賃が7560ドル(約87万円)になる計算だ。
金融センターとしての機能や情報・交通インフラなど、上海市の集積度は中国ビジネスの司令塔を置くには好ましい立地といえるが、中国の他の地域と比べても異常な不動産価格や家賃の高騰を嫌気する外資も多い。
◆メリット大?
さらに人件費の問題もある。白書によると市内の就労者平均年収は2万6823元(約38万8900円)と全国平均を大きく上回る。調査時点で平均月収は2235元(約3万2400円)と1年前に比べ9・9%増えていたという。なかでも外資企業のホワイトカラーの場合は、平均年収は14万1293元(約204万8700円)、平均月収は1万1800元(約17万1100円)と飛びぬけて高かった。
こうしたコスト問題にもかかわらず、白書では上海投資に対する収益率は、マイナス面をはるかに上回るメリットが得られると分析している。
企業の発行済み株式の額面100元当たりの利益率が、上海市は全国トップという。01年から05年までに、外資企業の従業員一人当たりの平均利益創出額が3万5000元(約50万7500円)、平均輸出額が2万400ドルだった。
こうしたことから「上海が中国で最も理想的な投資先」と回答した企業が89・7%に達したという。このほかに外資がとらえた上海人へのイメージで、「誠意がある」が16・4%、「協調性がある」が12・7%、「能力が高い」が60%に上ったとしている。
自画自賛ともいえるが、日本企業も含む外資の大半が、上海を中国ビジネス拡大の重要拠点と位置づけていることは間違いなさそうだ。