丸紅は23日、退任が決まったダイエーの樋口泰行社長(48)の後任に、常務執行役員の西見徹氏(58)を派遣する人事を内定した。ダイエーが10月6日に開く臨時株主総会後の取締役会で正式に決定するが、まず9月1日付でダイエーの副社長執行役員に就く。
丸紅は、樋口社長が就任からわずか約1年5カ月での退任になることから、後任人事にあたり、流通業界に詳しい食料部門出身者にこだわらず、求心力があり、社内の士気を高められる人物本位の人選で、早期再建を図ることにした。
丸紅の勝俣宣夫社長は、「財務体質改善や他の流通業との提携により必ず再建できる。再建にスピードをつけるために、人の話をよく聞き、決断したら即実行するという西見氏を選んだ」と起用の理由を話した。
西見氏は、「流通業界は難しい環境にあるが、体力と気力の続く限り、ダイエーの再生に力を尽くしたい」と抱負を述べた。
丸紅は西見氏のほかに、山崎康司・食料部門長代行兼ダイエープロジェクト推進部長を常務執行役員として、佐藤精四郎・食料総括部長を執行役員として派遣するほか、さらに追加人事を行う可能性もある。
ダイエーの取締役は現在8人。樋口社長のほかに、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズと産業再生機構出身者の合計4人の退任が決まっている。丸紅は、すでに派遣している取締役1人を含めて取締役会の過半数を占め、主導権を握る。林文子会長(60)は留任するが、権限は次期社長に集中させ、経営改革のスピードアップを図る。
丸紅は、今月上旬に産業再生機構が保有するダイエー株式を買い取り、44・6%を保有する筆頭株主となった。次期社長の人選が決まったことで、今後の焦点は新経営陣が、再建計画を早期に軌道に乗せ、実行できるかに移る。
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■丸紅「社内横断的な事業との相乗効果」
丸紅は今回、あえて流通業界に詳しい食料部門出身者ではない西見撤常務執行役員を選んだ。ダイエー再建は、財務体質の改善と小売業の攻めの経営を同時に実現するのが課題だけに、子会社社長を務め、経営や財務にも明るいことも決め手となった。
西見常務は、丸紅米国会社の副社長兼COO(最高執行責任者)や丸紅カナダ会社社長を歴任した国際派で、「経営感覚に優れ、明るく、親分肌」との人物評が高い。
ダイエーの経営権を握った丸紅の狙いは、スーパーダイエーの企業価値を高めると同時に「社内横断的な事業との相乗効果を図る」ことにある。ダイエーの全国店舗への食品・原材料供給にとどまらず、中国での肌着などの衣料品開発、開発建設部門の店舗開発などノウハウ、金融分野とのシナジーを発揮できれば、総合商社の新たなビジネスモデルの開発につながる可能性もある。
負の遺産の整理は、樋口泰行社長がほぼ完了させた。今後のダイエーが営業力強化に向けた積極策に打って出るには、新規事業プロジェクトの経験豊富な西見氏の手腕が期待される。
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【プロフィル】西見徹氏
にしみ・とおる 東大法卒。72年丸紅入社、丸紅米国会社副社長、丸紅カナダ会社社長などを経て03年執行役員、05年4月常務執行役員。兵庫県出身。