証券最大手の野村ホールディングス(HD)は、台湾で富裕層向けの資産運用ビジネスに参入する。3月に3%超出資した現地の大手金融グループ、台新フィナンシャルホールディングスと連携し、現地上場企業のオーナー経営者や華人系財閥の資産家の投資運用ニーズを取り込む。
国内の証券大手では、大和証券グループ本社が7月にシンガポールに富裕層向け事業の新会社を設立、日興コーディアルグループも台湾、韓国の現地証券会社と相次ぎ提携した。国内株式市場の復活に伴う収益拡大を背景に、証券各社にアジアへの投資を軸とする海外事業強化の動きが広がっている。
野村が出資した台新グループは、台湾では資産規模2位の大手金融機関で、グループ傘下には多くの台湾での上場企業と取引関係を持つ商業銀行の台新国際商業銀行を持つ。
今回、出資後の協業の具体化として、台新の富裕層顧客に対し、野村の欧州拠点などが専用の投資商品を開発、金融資産の運用管理を受託する富裕層向け事業(プライベートバンキング)を展開する。台湾以外での社債や新株の売り出しなど、法人顧客の資金調達を支援する引き受け事業を進める準備にも入った。
野村は今年、海外戦略の新方針として、アジア市場での事業基盤強化と欧州拠点の商品供給基地化を打ち出しており、これを台湾の富裕層向け事業で実践する。
台湾は、華人系財閥など個人金融資産が50億~100億円を超える超富裕層が少なくとも200家族に上り、日本を上回る富裕層の資産の厚みがあるという。
ただ、野村をはじめとする日系証券は、超富裕層に頻繁に接触できるパイプがないため、これまでは資産運用サービスの提供が困難だった。外資系では、先行して市場開拓に着手した米大手金融グループのメリルリンチなど欧米系数社にとどまっている。