WSJ-フェルプス・ドッジがインコ買収断念、買収の標的になる可能性
米産銅大手フェルプス・ドッジ(NYSE:PD)は5日、178億4000万ドルでのカナダの鉱業大手インコ(NYSE:N)買収を断念したと発表した。これにより、フェルプス・ドッジの今後の行方について疑問が浮上している。インコ買収で同社と競っていたブラジルの資源大手リオドセ(NYSE:RIO)がインコ買収を実現させ世界での事業拡大につなげる可能性がある。
ニッケル生産大手であるカナダのファルコンブリッジ(NYSE:FAL)とインコ両社の獲得を目指す1カ月にわたる競争は終わりを迎える可能性がある。この競争は、中国の経済成長などにより世界での金属需要が増加するとの期待感から鉱業会社を手中に収めようとする、世界的な鉱業セクター再編の流れの一環。
投資家は、同セクターでの合併・買収(M&A)の動きは続き、フェルプス・ドッジが一転して買収の標的になる可能性があるとみている。
資源分野に特化した資産運用会社であるUSグローバル・インベスターズのフランク・ホームズ最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)は「鉱山の開発は極めて困難であるため、M&Aの動きは続く」との見方を示した。また、同氏もやはり「フェルプス・ドッジが買収の標的になる可能性がある」と述べた。USグローバルの広報担当者によると、同社はフェルプス・ドッジ株を保有していない。
フェルプス・ドッジの広報担当者は、同社に買収を打診した企業があるかどうかについてコメントを避けた。
同社は今後、工業用金属相場の上昇を生かし、同社自身の銅増産に注力することになる。同社はペルーの鉱山を拡張しているほか、米アリゾナ州で新たな鉱山の開発を始めた。さらに年内にはコンゴで鉱山の開発に着手する予定。今年の同社の銅生産量は20億7000万ポンドの見通し。
フェルプス・ドッジの主要な機関投資家にとって、インコ買収断念は朗報だった。こうした機関投資家は、株式の希薄化や過大な債務への懸念などから、インコ買収には反対を表明していた。フェルプス・ドッジはインコから1億2500万ドルの違約金を受け取ったほか、インコが年内に他社に買収された場合はさらに3億5000万ドルを受け取る。
フェルプス・ドッジ株の5日終値は、前週末比2.73ドル(3.01%)高の93.48ドルだった。インコは同0.58ドル(0.75%)安の77.12ドル。その後の時間外取引では上昇に転じ、77.91ドルで取引されている。
インコは、リオドセとの交渉を続ける可能性があるほか、他社と交渉を始めることもできる。リオドセはコメントを避けた。同社は、買収を通じ、扱う金属の種類や事業地域の多様化を目指している。
インコは8月29日、フェルプス・ドッジによる買収提案に賛成するよう株主に勧告していた。だがインコのスコット・ハンド会長兼最高経営責任者(CEO)によると、インコの株主は、この買収の賛否を問う投票を9月7日に控え、フェルプス・ドッジによる買収を支持しない態度を明確にした。これを受け両社は、買収合意を撤回することが双方の利益になるとの考えで一致したという。