日本製紙は6日、日常的に食べるだけでスギ花粉症を緩和するコメの栽培に乗り出すと発表した。小松島工場(徳島県小松島市)内に閉鎖型温室を建設し、スギ花粉症緩和米を研究試料として栽培する。研究で培った技術は、将来のビジネスと位置付けるアグリバイオ事業に反映させる考えだ。
同社は、独自の遺伝子組み換え技術「MATベクター」をもち、農水省の「スギ花粉症緩和米」研究プロジェクトに参加している。プロジェクトには、農水省傘下の独立行政法人・農業生物資源研究所のほか、複数の民間企業も加わっている。
プロジェクトは、スギ花粉症の症状が緩和するコメの開発を目指しており、期間は2006~08年度の3カ年。期間中には人間が米を食べた際の効果確認、栽培の基準づくりなどを行う。
日本製紙は、遺伝子組み換え技術の提供とコメの研究試料の栽培を担当。約1億円を投じて、栽培面積500平方メートルの完全閉鎖型温室を建設し、12月に完成を予定している。07年1月から栽培を始める。3期作を行い、年間収穫量は0・7トンを見込んでいる。
日本製紙の遺伝子組み換え技術「MATベクター」を用いることで、スギ花粉症の症状緩和という目的以外の遺伝子を導入する必要がなく、研究の効率が上がるという。
スギ花粉症症状緩和米の研究は、現在までに、マウスを用いた動物試験で効果が確認されている。
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【用語解説】スギ花粉症緩和米
花粉症は、人間の身体が花粉を異物と認識し、それに伴ってアレルギー症状を引き起こす疾患。身体に備わる免疫反応が過剰に起こるのがアレルギー症状。免疫反応は、抗原抗体反応ともいわれ、身体に入る異物を抗原(アレルゲン)と呼び、抗原と結びついて、抗原を排除する物質を抗体という。
スギ花粉症緩和米は、花粉の表面にあって、抗体が花粉を異物であると認識するために必要な部分となる「エピトープ」を遺伝子組換技術によってコメの中に作り出している。
エピトープが身体に入るのと、実際に身体に花粉が入るのとを比較すると、抗体の反応は非常に低い。エピトープ入りのコメを定期的に摂取することで、徐々に身体内の抗体に花粉が入ってきた状態に慣れさせ、アレルギー反応を抑える仕組みだ。