【中国】三井物産、東京電力 江蘇省でフロン回収へ 世界ファンド通じ出資

三井物産と東京電力は、世界銀行が運営を代行する「フロンの信託ファンド」を通じ、中国で最大級となる江蘇省の2件のフロン回収プロジェクトに月内にも出資を開始する。物産は、プロジェクトから得られる排出権が京都議定書に基づく「クリーン開発メカニズム」(CDM)として国連から承認されたことから、電力会社や鉄鋼会社向けに仲介する。同プロジェクトは約7年間展開され、物産の出資額は100億円前後にのぼる見通しだ。

 江蘇省泰州市にある化学メーカー「江蘇メイラン化学」と同省常熟市の化学メーカー「常熟3F」が空気中に放出していたフロン(HFC23)を回収する。「HFC23」はCO2の約1万1700倍の温室効果があることから、フロンの中でも削減効果が大きいという。

 同プロジェクトから早ければ年内に排出権の獲得が始まり、約7年の期間中、二酸化炭素(CO2)換算で合計約1億3000万トンにのぼる。物産は10%弱の年間1100万トン分を取得する計画で、出資額は期間中に100億円前後にのぼる。

 中国のCDMプロジェクトで実績をもつ世銀は、案件ごとに企業などから出資金を募り、プロジェクトの管理を受託する信託方式を編み出した。今回のフロンプロジェクトがその第1弾。民間の出資者では10%弱の物産が最大で、このほか東電、スペイン電力会社のエンデサ、ドイツ銀行など合計12社が出資するという。 

 物産はこれまで、中国でプロジェクトを発掘し、資金調達、環境設備供給から排出権売買の仲介までを総合的に行う案件として、四川省と遼寧省で炭鉱メタンガス回収プロジェクト、仲介案件では関西電力向けの水力プロジェクト2件で実績がある。フロン案件はその中間に位置する新たな手法となる。

 地球温暖化ガス削減の目標を決めた京都議定書は先進国に削減目標を設定する一方で、その手法として途上国の温暖化ガス削減につながる技術や資金を提供した場合に、その見返りに排出権を受け取り、排出権を先進国の削減分にカウントできるCDMの仕組みを提示した。

 中国は、CO2では米国に次ぐ世界2位、二酸化硫黄(SO2)排出では世界トップの環境汚染の排出大国で、日本企業にとって有望市場になっている。

 物産はさらに、関西電力向けに甘粛省の水力プロジェクト(2012年までに合計で約56万トン分を削減)2件の排出権を仲介したほか、今後も風力や小型水力発電など未利用エネルギー関連プロジェクトの発掘を計画している。

 従来は、中国側がCDMを資源扱いとし、事実上外資参入を規制していたが、CDMを環境対策推進の有力手段に位置づける方向に転換。昨年10月に一定分を中国側が取得するなどを盛り込んだCDM推進関連法の細則が整備され、風力、水力発電、ごみ処理場、炭鉱メタンガス回収などの排出権プロジェクトが相次いでいる。

 物産は9月末から日本政府が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて排出権の購入の募集を開始することにも着目。中国に加えてインドを含めたアジア、中東向け案件も発掘する計画だ。

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