米アレジアント航空、ニッチ路線で飛躍 大手と対決回避、格安で成功

米国の格安航空会社アレジアント航空(ネバダ州)が年内に米店頭市場ナスダックに上場する。同社は大手と競合しない路線を低価格で運航するという独特の戦略で急成長。燃料費の高騰であえぐ米航空業界で数少ない成功例として脚光を浴びている。

 ≪機材費10分の1≫

 ラスベガスの地元紙によると、アレジアントはIPO(新規株式公開)で1億ドル(約117億円)を上回る資金を調達し機材を増強し、米加両国の65都市を結ぶ路線やメキシコ、カリブ方面の新路線も検討している。

 同社は観光地として有名なラスベガスとオーランドを拠点に、約40の地方空港からの直行便を運航し、成長してきた。片道料金は平均で94ドル(約1万1000円)。12月から運航予定のタンパ-ノックスヴィル(テネシー州)間では料金はわずか49ドルだ。

 低価格の秘密の1つが機材。同社が導入している21機の旅客機は新型の大型機ではなく、中型双発ジェットの中古機。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、同じ機数を導入した場合は約10億ドルかかるボーイング737型機の代わりに、平均で16年が経過した1機400万ドルのMD-80を利用し、コストを10分の1に引き下げた。

 しかし、同社の戦略の最大の特徴は路線の選定にある。地方の中都市からラスベガスやオーランドを結ぶ直行便を主体とし、ハブ(拠点)空港を中心に路線を張り巡らせるユナイテッド航空やアメリカン航空などの大手との直接対決を徹底して避けた。競合路線の割合は1割未満という。

 ≪観光と一体化≫

 同社の経営の特徴はもう一つある。実は同社は、旅行代理店アレジアント・トラベルの子会社。同社の航空券はネット上で、旅行パッケージ、ホテル、レンタカーの予約サービスと一体的に販売されている。航空と観光を組み合わせて利益を確保する特殊なビジネスモデルといえる。

 このほか、サービスでは機内の食事やソフトドリンクなど座席運賃以外はすべて追加料金を取り、ホテルやレンタカーの予約でも手数料を取っている。最近までラスベガスのネットギャンブル会社の宣伝を機体に塗装し、「空飛ぶ広告塔」の異名を取るなど、貪欲(どんよく)に収益を確保してきた。

 こうした戦略が軌道に乗り、2006年1~6月期の売上高は1億1930万ドル、利益は1150万ドルを記録した。

 格安航空会社は、徐々にシェアを拡大しつつあるが、大手もユナイテッド航空や英ブリティッシュミッドランドなどが低コストの航空ブランドを立ち上げ対抗するなど競争が激化。利益は縮小傾向にある。

 こうした中で、徹底したニッチ(すき間)市場開拓に取り組むアレジアントの戦略は、米航空業界に新風を吹き込んでいる。

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【用語解説】アレジアント航空

 1997年設立。観光やレジャーなどの国内旅行者を主な顧客とし、フロリダ州やカリフォルニア州などの米南部のリゾート地向け路線を多く手がける。ホテル会社とも提携し、宿泊も含めたパッケージ旅行に強みを持つ。現在29州、47空港に路線を就航させている。本拠地は米ラスベガス。

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