欧州中央銀行あす定例理事会 金利3・25%に引き上げへ 根強いインフレ圧力
欧州中央銀行(ECB)は5日にフランスのパリで開く定例理事会で、ユーロ圏12カ国共通の政策金利を現行の3%から3・25%に引き上げる見通しだ。原油価格下落が引き締め政策の終了を早めるとの見方が浮上する一方で、労働コスト上昇を通したインフレ圧力は根強く、中立的な金融政策への転換は年明け以降となりそうだ。
欧州連合(EU)の欧州委員会は2日発表した四季報で、今年1~6月期のユーロ圏域内総生産(GDP)伸び率が年率3・4%と、半期ベースでは6年ぶりの高水準に達するとの見通しを示した。サッカーワールドカップ(W杯)ドイツ大会の経済効果もあり、内需が好調に推移しているためだ。
ECBはすでに昨年12月、ユーロ圏の成長ペースが加速したことや原油相場の上昇を受けて引き締め政策に転じ、8月まで4回にわたる利上げを実施している。5日の理事会で利上げが決まれば8月に続き2カ月ぶり、現在の引き締め局面では5回目の利上げとなる。
ECBは8月末の経済見通しで今年の消費者物価上昇率をユーロ発足以来最も高い2・4%と予想。これはECBが目標とする0~2%を大きく上回る水準で、市場では「10月5日の理事会と12月の理事会での2回の利上げは既定路線」との見方が支配的だった。
こうした中で注目されているのが、最近の原油価格下落の影響だ。ニューヨーク市場の原油先物価格は今年7月に過去最高値の1バレル=76ドル台を記録した後急落。10月2日は61・03ドルをつけ、2カ月余りで2割以上の大幅下落となった。
原油価格下落の影響で、9月の消費者物価の上昇率は8月の2・3%から04年3月以来2年半ぶりの低水準となる1・8%にまで低下。これがECBの政策判断にも影響するとの見方が出てきている。
しかし、ECB幹部の姿勢は慎重だ。ブルームバーグによると、ウェーバー理事(独連銀総裁)は9月26日、「原油価格下落がユーロ圏のインフレ圧力を抑制すると確信するのは時期尚早」と利上げ継続の必要性を強調。ロイター通信によると、リーカネン理事(フィンランド中銀総裁)も「経済見通しに変化がなければ金融引き締め政策を続ける」と述べ、早期の政策転換に否定的な考えを示した。
この背景には、原油価格以外のインフレ誘発要素がある。ユーロ圏の7月の失業率は5年ぶりの低水準となった前月と横ばいの7・8%となり、今後、企業は従業員を確保するため給与引き上げを余儀なくされ、これが物価上昇につながるとみられているのだ。
ただ、インフレ傾向は年内にはほぼ収束すると予想されている。さらに1ユーロ=1・27ドル台の高値で推移するユーロの対ドル相場が英米向け輸出に与える影響や、来年、付加価値税の引き上げで減速が避けられないドイツ経済が安定成長を阻害するリスクとして浮上すると指摘されている。
市場関係者は「市場では12月のECB理事会での3・5%への利上げは折り込み済み。ECBは年明け以降、中立的な政策姿勢に転換するだろう」(三菱UFJ証券経済調査部の矢口満シニアエコノミスト)と予想。5日の定例理事会後に開かれるトリシェECB総裁の発言に注目している。