日興コーディアル 顧客の意思確認義務化 仲介業者にマニュアル策定

日興コーディアル証券は、保険代理店や税理士事務所など同社の投資商品を取り扱う証券仲介業者に対し、商品販売時に顧客の資産運用の意思や投資目的の確認を事実上義務づける専用の「営業行動マニュアル」を策定したことが22日明らかになった。来夏にも施行される金融商品取引法の投資家保護規定の強化に対応し、リスク説明に営業員の個人差が生じないよう、成約までにとるべき具体的な営業行動の手順ルールを体系的にマニュアル化した。こうしたマニュアルの策定は同社では初めてで、証券業界でも珍しいという。

 同社は、スーパーバイザーと呼ばれる証券仲介業者支援の専門要員が、実際に営業現場に付き添って指導したり、模擬販売のシミュレーション研修などを実施し、このマニュアルの仲介業者への導入を今月から推進する。顧客の資産運用の意思を確認し、元本割れを望まない人には個人向け国債しか勧めないなど、具体的な行動指針で投資家保護を徹底する。

 マニュアルに盛り込んだ営業行動は、現場の各営業員が、必要事項を顧客に実際に質問したかなど、履行状況をチェックシートで自己確認する仕組みも採用した。提携先の仲介事業者には半年に1回程度の頻度で、全体のマニュアル履行実態の自主監査を求める。

 また、同社のコンプライアンス(法令順守)部門も年に1回提携先を調査し、マニュアルに沿った適切な営業行動がとられているか確認する。

 今回のマニュアルに盛り込んだ資産運用意思の確認や投資目的の聞き取りは、資産の運用管理を証券会社に委ねる投資一任契約や投資顧問業などの特別なサービスの顧客対応に準じる行動。これを投資信託など通常の投資商品の販売営業にも求めるは珍しい。

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 【視点】

 ■マネー獲得 「営業の質」競争へ

 リスク金融商品を専門とする証券会社は、商品知識や適切な接客などに関する研修や個別のマニュアル提供などを通じ、社内や提携先に対し投資家保護の営業態勢づくりを継続して支援している。ただ、貯蓄から投資への動きに伴い、投資信託をはじめとするリスク金融商品の購入層が高齢者や投資の初心者に拡大。市場では、顧客との意思疎通のまずさや商品に対する認識の食いちがいなどで購入トラブルが発生する危険度が増している。

 これに加え、新たな金融商品取引法では、単なる元本割れリスクの有無だけでなく、リスクの度合いなど、より詳しい説明責任が販売業者に義務づけられる。このため、証券会社には自らの販売行為はもちろん、証券仲介事業者への商品供給元として改めて社会的責任が厳しく問われる見込みだ。

 顧客の投資意思や投資目的の確認など手間のかかる作業ルールは、短期的には販売拡大の足かせになるため、現状の金融機関の取り組みは鈍い。 しかし、販売優先の営業行為はいずれ顧客の反発を受けるのは必至で、投資マネーの獲得競争は今後、日興などの取り組みを契機に投資家保護に向けた営業の質の競争に向かう可能性がある。

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