武田薬品工業は25日、神奈川県藤沢市に新研究所を開設すると発表した。2010年度の稼働を目指す。大阪府茨木市と藤沢市を候補地として検討し、地元自治体も激しい誘致合戦を繰り広げたが、藤沢市の同社湘南工場跡地を利用するほうが、投資額を抑制し、早期に開設できると判断した。大阪市と茨城県つくば市に分散している研究所を集約する。
08年度中に着工し、投資額は700億~800億円に上るとみられる。研究員は約1000人体制で、製薬会社としては国内最大規模の研究所になる。09年以降、主力製品が次々と特許切れとなるため、研究所の新設で新薬開発を加速。欧米の巨大医薬品メーカーとの開発競争に打ち勝つ狙いだ。
新研究所開設に当たっては、大阪府と神奈川県が誘致合戦を展開。大阪府はバイオ関連産業の研究拠点「彩都(さいと)」の目玉として、地元企業である武田の研究所誘致を目指し、総額200億円超の支援策を示していた。しかし、藤沢市の同社工場跡地を使う方が得策と判断した。
武田薬品は大阪の老舗企業で、本社を置く道修町(大阪市中央区)はかつては薬の街としてにぎわった。また、大阪・十三(じゅうそう)(大阪市淀川区)の研究所は昔から数々の新薬を生み出した武田薬品の強さの“源泉”だった。
今回、研究所が大阪から消えることになり、06年9月中間期の決算会見も東京に一本化されることから、大阪の企業というイメージはますます希薄になる。
武田が藤沢市に研究所新設を決めたことに対し、大阪府の太田房江・知事は、「府として彩都立地を全力で働きかけてきただけに、誠に残念。彩都を世界を代表するバイオクラスターに育てられるよう、全力を注ぐ」とのコメントを発表した。