【中国】人民銀報告 「進出外銀254行に」 開放拡大には触れず
中国人民銀行(中央銀行)は、外銀に対する銀行業務の開放状況などを盛りこんだ「2006年中国金融安定報告」をまとめた。昨年末段階で中国に進出した外銀は254行で資産総額が876億5700万米ドル(約10兆円)に上ったと報告している。しかし、世界貿易機関(WTO)加盟時に公約とした金融市場の対外開放期限を12月に控える中で、さらに一歩進んだ開放策を具体的には示しておらず、米金融界などからの反発も生みそうだ。
≪米金融界が批判≫
人民銀が1日までに明らかにした同報告書によると、対中進出済み254行の外銀で、国有商業銀行や地場銀行なども含む中国の銀行業が抱える資産総額の1・89%という。進出外銀のうち154行までが合わせて25都市で人民元取り扱い業務の認可を受けている。
また、投資会社なども含む外資系金融機関25社が、中国の銀行に資本参加を果たした。これには先月27日、香港と上海の両市場で同時上場した中国工商銀行への米ゴールドマン・サックスや、6月に香港に上場した中国銀行への米メリルリンチや三菱東京UFJ銀行などの出資が含まれる。
これまでに中国の銀行に対する出資比率では外資1社で20%まで、複数社で合計25%までとなっている。報告書ではこの上限を緩和する方向性は示したものの、その時期や出資比率の拡大幅などの明示は避けている。
2001年12月のWTO加盟時に中国は、5年以内に、個人向けの人民元業務を外銀に開放するとの公約を掲げた。一方で中国銀行業監督管理委員会は8月、人民元業務を行う外銀に、香港などを除く中国本土内に現地法人の設置を義務付ける方針を打ち出した。これに対し、米金融界などから「資本金規制などで人民元業務参入へのハードルが高まった」などと批判がくすぶっていた。
≪国家管理続ける≫
人民銀の報告書は「今年はWTO加盟に対する過渡期の最後の1年」と認識しながらも、「対外開放レベルをさらに引き上げる」などと具体策を避けた表現での対応しか示さなかった。その説明の中で「国家の金融安全を確保する」との表現も用いており、対外開放を進めつつも内外の金融機関に対する国家コントロールの“手綱”は固く握り続けるとの意思を明確に打ち出している。
同時に、外銀を中国の産業高度化や、各地域の均衡ある発展に寄与させる方針もうたった。重点産業の育成や、経済発展が立ち遅れている中西部の開発で需要が生まれる巨額の資金調達などに外資を利用する戦略だ。
さらに人民元の為替政策についても報告書は(1)相場形成システムの完全化をめざして改革を進める(2)人民元相場の形成で市場の需給が果たす役割を十分発揮させる-などと、これまで繰り返されてきた目標の「漸進的な改革」を重ねて表明するのみで、何ら具体策は提示しなかった。このほかに、預金保険制度の創設準備と金融セーフティーネット(安全網)構築の加速などにも触れた。