三菱UFJ信託銀行は3日までに、心臓停止状態に陥った人に電気ショックを与えて蘇生(そせい)させる医療機器「自動体外式除細動器」(AED)を、3月末までに全店(77店舗)に設置する方針を明らかにした。全店に設置するのは大手銀行では初めて。
銀行業界では、中央三井信託銀行が2006年末までに16店舗・センターでAEDを設置したほか、みずほ信託銀行も設置を検討するなど導入に向けた動きが広がっている。とくに、信託銀行には高齢者の来店も多いことから、より安心感を高めることで集客につなげる狙いもあるようだ。
三菱UFJ信託銀は、06年2月に吉祥寺支店(東京都武蔵野市)に、同年4月に柏支店(千葉県柏市)にそれぞれ試行的にAEDを設置した。これが「顧客や社員の安心感につながっている」ことから、設置店舗を本店を含む全店に広げることにした。設置に際しては、各支店の地元の消防署などにも協力を求め、従業員が使用方法の講習を受ける。
中央三井信託銀も昨年11月から12月にかけて、日本橋営業部(東京都中央区)や新宿西口支店(新宿区)など全71店舗・センターのうち16拠点でAEDを設置した。同銀は「緊急時に顧客や従業員の救済を図ると同時に、金融機関の公共性の観点から設置する」と、AED設置の理由を説明している。
このほか、大手銀行では、三菱東京UFJ銀行が2拠点で試行的に設置しているほか、りそな銀行は都内の9拠点に置いている。
AEDは、心臓が突然停止したときに電気ショック(電気的除細動)を与えて心臓の働きを戻す医療機器。従来は医師など専門家しか使用できなかったが、04年7月からは一般の利用も可能になった。
心停止した場合、救急車を呼んでも到着には数分かかる。救急隊員や医師が現場に着いてAEDを使用するよりも、その場ですぐに使用するほうが救命率が数倍高くなるとされる。駅や空港など公共性の高い場所で普及が広がっている。
◇
【用語解説】AED
Automated External Defibrillatorの略語。不整脈などで心臓停止になった患者に対して電気ショックを与えて蘇生(そせい)させる装置。自動体外式除細動器と呼ばれる。使用は医療従事者に限られていたが、救急車の到着に時間を要するなどの問題から、2004年夏に一般の使用も解禁された。