【中国】伊藤忠商事 高純度テレフタル酸販売円滑に 上海に債権回収の子会社

伊藤忠商事は、ポリエステル繊維やペットボトルの原料として需要が伸びている高純度テレフタル酸(PTA)の中国の販売ビジネスで、債権回収業務に特化した子会社を上海に設立し、今月から営業を開始した。今月下旬、三菱化学などとの合弁生産会社が本格稼働するのを機に、年率2ケタで成長する中国国内での営業を円滑化する狙いがある。新会社は金融機関のOBなど財務のプロを採用、債権回収業務でノウハウを蓄積する。

 新会社の名称は「互騰貿易(上海)」。資本金は100万ドル(約1億2100万円)で、現地法人の上海伊藤忠商事が40%、伊藤忠本社が60%を出資した。当面の販売活動は商業企業の認可を持つ上海現法に委託する。販売先は中国の織布メーカー。PTA売上高は年間360億円規模を見込む。債権回収に特化した子会社設立は初めて。

 伊藤忠は、2005年9月に「地域本部」の認可を中国で取得。海外で生産した製品を自由に中国内で販売できる認可を得て食品や繊維など国内販売を強化している。

 特に中国には日本のような手形、小切手の不渡り制度がなく、手形や小切手が、銀行から残高不足で戻された場合は、取り立て手数料が必要になるなど与信管理や債権回収が最大の課題になる。

 このほか書類の偽造など多数のチェック項目があり、新会社に専門部隊を置くことにした。伊藤忠は、従来から三菱化学のインドネシアやインド工場から中国向けに輸出し、代理店経由などで中国国内で販売してきた実績があり、こうした与信管理に加えて、債権回収ノウハウも蓄積する。

 PTAのプロジェクトは、05年4月に日本側の投資会社が90%、投資会社の中国中信集団(CITIC)が10%を出資して生産合弁会社「寧波三菱化学」を寧波に設立した。日本側の投資会社は三菱化学が61%、伊藤忠商事が35%、三菱商事が4%を出資している。

 寧波は中国の中でも繊維産業の生産集積地として知られ、ポリエステルなどで需要が大きい。生産規模は年60万トンで、伊藤忠がこのうち約40万トン分を販売する計画。三菱化学は2010年にも増産を計画しており、伊藤忠は中国国内販売にドライブかけたい考え。

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 ■年2けた成長 世界最大の拠点

 中国の高純度テレフタル酸(PTA)生産は現在、世界全体の約半分の1850万トンと推定されている。合繊を含む繊維産業の世界最大の生産拠点になっており、繊維向けで1700万トン、ペットボトル向けで約150万トン。いずれも年率約15%で成長している。

 中国メーカーの揚石化(江蘇省)、浙江華聯サンシャイン石化(浙江省)なども生産規模を拡大しているほか、世界最大のPTAメーカーである英BPも中国に攻勢をかけている。BPは富華集団との広東省珠海の合弁生産会社を通じ、2008年までに90万トン増産し、160万トン態勢に引き上げる計画という。

 一方、中国政府はマクロ経済コントールの一環で、過剰生産を避けるために大規模な工場新設には慎重姿勢をとり続けている。三井化学は04年から認可を申請中だ。