野村証券は29日開いた投資銀行業務の戦略説明会で、国境をまたぐM&A(企業の合併・買収)の仲介などを強化するため、欧州での情報収集態勢を整備する方針を明らかにした。M&Aで先行する欧州のほか、高成長に伴いM&Aの増大が見込めるアジアにも注力し、世界市場での存在感を高めていく考えだ。
同日記者会見した柳谷孝副社長は「ロシアを含めた欧州地域は大型M&Aがさらに活発化する」と期待を示した。
具体的には、まず2005年2月に業務提携した英独立系投資銀行グループのロスチャイルドとの関係強化を図る。外資系調査会社によると、ロスチャイルドは06年の欧州でのM&A助言サービスが案件ベースでシェア2位の実績を持つ。野村はロスチャイルドの拠点網を足がかりに欧日間のM&A案件の助言サービス業務を強化する。
これまでは主に野村の英ロンドン拠点がロスチャイルドと情報交換を行ってきたが、今後は、日本から人員を派遣し直接情報交換する。また、企業アナリストによる業種別会議を開くなど、交流を深める計画だ。
ロスチャイルドとの提携では、ベアリング大手のNTNによる独輸送用機器メーカーのIFA-ATの買収や自動車用品販売のオートバックスセブンと英自動車用品販売のハルフォーズ・グループの業務提携などで共同助言サービスを提供した実績がある。
野村では関係強化により、日欧間のM&Aに意欲を持つ企業の掘り起こしを進めたい考えだ。
このほか、05年末に設置した専門部署「ファイナンシャルスポンサー部」の機能強化も図る。同部は経営陣による自社買収(MBO)のほか、子会社や事業売却を検討している企業と、買収の受け皿となる国内外の投資ファンドを仲介する業務を担当している。
新たな欧州のファンドを開拓するため、“目利き役”となる担当者を積極的に採用する。
野村によると06年に国内で実施されたMBOや子会社、事業の売却によるM&A案件は約8000億円で、世界全体の約80兆円のわずか1%にとどまっている。
野村ではM&Aが活発な欧州市場で実績を挙げる一方、後発の国内市場についても、「さらに拡大する余地は十分にある」(柳谷副社長)とみている。