多重債務者の支援生協 都、10億円超を出資検討 全国初

自らの返済能力を超えて消費者金融から借金を重ね、返すのが困難になった多重債務者の生活を立て直すため、東京都が生活協同組合と救済資金の低利融資で手を組むことになった。都は来年3月末までに、多重債務者向けの返済相談や融資を手がける「生活サポート生活協同組合・東京」(東京都中央区)に対し、融資に充てる資金など最大で10億円超を出資する検討に入った。

 都は今年度予算で多重債務者の救済を狙い、都社会福祉協議会に15億円の基金を設置。債務整理や返済計画などの救済ノウハウを持つ同生協を基金の受け皿に活用し、実動部隊となってもらう考えだ。生協を母体にして自治体の出資を伴う救済策は全国でも初となる。

 また、都が金融機関にあらかじめ基金の一部を保証金代わりに預け入れ、都の信用を元手に金融機関から生協側に資金を融資する預託方式なども検討する。

 同生協は昨年11月、多重債務者の救済を目指す東京地区で初の生協として設立された。まだ歴史は浅いが、公的資金による預託方式で1989年に全国初の多重債務者向け融資を始めた「岩手県消費者信用生活協同組合」(盛岡市)が運営面で全面協力している。

 活動内容は、相談者の債務内容や年収などを聞いた上で、弁護士らの専門家が今後の返済計画などを助言する。

 さらに、高利で膨らんだ借金を利息制限法の金利(借入額に応じて年15~20%)で再計算し、払い過ぎた金利(過払い金)を元本返済に組み込んで債務を圧縮。必要に応じて融資部門の関連法人「生活サポート基金」(東京都中央区)を通じた年利12・5%以下の生協ローンに借り換えてもらい、返済を一本化する。

 相談者のうち、これまで約3割が融資を受けることができ、現在の貸付残高は40件、約6800万円。融資が焦げ付く貸倒率も今のところゼロという。

 返済困難な多重債務者は現在、全国で200万人以上とされ、国も対策本部を設けて相談体制の強化や低利融資の充実などを急いでいる。今後は上限金利引き下げなどの規制強化に伴う貸金業者の“貸し渋り”により、どこからも借りられない人がヤミ金融業者に流れたり、生活破綻(はたん)したりするケースが危惧(きぐ)されている。

 全国の自治体では岩手や東京のほかに、山口や福岡、熊本県などでも生協を中核とする融資・相談組織の取り組みが始まっている。