大手銀行が熱視線 排出権取引ビジネス 中小企業も信託機能で小口化
大手銀行が相次いで二酸化炭素(CO2)の排出権取引ビジネスに乗り出す。財産管理などを受託する信託機能を活用し、排出権を小口化して企業に売り出す。三井住友銀行が国内企業3社と排出権取引で信託契約を結んだほか、みずほ信託銀行なども排出権を信託財産として扱う認可を金融庁から取得し、参入に向けた態勢を整えている。温室効果ガスを削減する京都議定書の約束期間が来年からスタートするのを控え、各行が企業間の排出権取引の仲介に力を入れ出した形だ。
三井住友銀は6月に森トラスト、三井住友カード、三井住友銀リースと金銭信託契約を結んだ。受託した資金でブラジルの発電所から排出権を取得し、委託者である3社に配分する。木材加工工場から排出される残留物を利用したバイオマス発電で、排出権はCO2換算で合計1万トン弱。1社あたりの購入額は数千万円とみられる。
これまでの排出権取引は電力や鉄鋼などエネルギー使用量が多い大口の需要家が中心で、取引量も数万トン単位が多かった。信託機能を活用することで複数の企業が参加でき、企業にとっては数千トンレベルの小口で必要な量の排出権を取引できる。
三井住友銀は「排出権の小口需要は日増しに高まっている」(ストラクチャードファイナンス営業部の工藤禎子・制度金融グループ長)とみて、非製造業や中小企業などの小口のニーズにも対応していく考えだ。
一方、みずほ信託銀は7月上旬に排出権を信託財産として扱う認可を取得。排出権の売り手から管理を受託し、小口化して顧客に販売する準備を進めている。また、三菱UFJ信託銀行も認可を取得しており、三菱商事と共同で小口化された排出権を販売する計画だ。同銀は清水建設とも温室効果ガス削減プロジェクトで生じる排出権を受託することで合意している。
このほか、中央三井信託銀行が金融庁から認可を取得したほか、住友信託銀行も排出権取引ビジネスの参入を検討中だ。
京都議定書で日本は2008年から12年までの間に、1990年比で温室効果ガスの排出量を6%削減することを義務付けられている。これを控え、産業界では業界ごとにCO2削減の自主計画を取りまとめるなど、CSR(企業の社会的責任)を重視する企業を中心に排出権取引の関心が高まっている。
排出権取引をめぐっては、先進国が途上国での排出削減プロジェクトに協力し、削減分を排出権として得られる「クリーン開発メカニズム(CDM)」を活用するケースが増えている。すでに三井住友銀がブラジルでCDMプロジェクトを発掘して中国電力に紹介するなど、金融界では関連ビジネスも活発化している。
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【用語解説】排出権取引
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを排出する権利を企業や国の間で売買する取引。省エネ設備の導入や自然エネルギーの活用によって削減した排出量を売買することが多い。取引はCO2換算で1トンあたり1000円から3000円程度とされる。国連が管理する「国際取引ログ(ITL)」と呼ぶシステムと、日本の排出権取引のシステムが近く接続される予定。取引に参加する企業は、ITL内に口座を開き排出権を売買する。