サブプライム問題 英ノーザン解体も 信用収縮深刻、買い手付かず
政府も対応苦慮
英主要メディアによると、米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題の影響で資金難に陥っている英中堅銀行、ノーザン・ロックが近く解体に追い込まれる可能性が出てきた。株主からは身売りを求める圧力が高まっているが、買い手が見つからないためだ。強力な公的支援を打ち出した英政府も難しい対応を迫られそうだ。
フィナンシャル・タイムズ紙(電子版)は24日、数週間以内にノーザンの買い手が現れなければ、同行は解体して76の店舗、IT(情報技術)システム、住宅ローン債権を切り売りする検討を迫られると報じた。
同行の株価は、2週間前に経営危機が表面化してから先週末までに4分の1に急落、絶好の買い手相場となっていた。ところが、スコットランド銀行などノーザン買収に名乗りを上げていた英大手金融機関が相次ぎ買収を断念。サンデー・タイムズ紙などによると、12以上の欧州金融機関が買収をしない方針を決めたという。
身売り話が難航しているのは、信用収縮が深刻で、同行の事業継続が予想以上に困難なためだ。ノーザンは、イングランド銀行(BOE=中央銀行)による30億ポンドの緊急融資で取り付け騒ぎの急場をしのいだが、銀行間取引市場や一般預金客から継続的に資金調達を行うのは難しく、ノーザンを買収した金融機関は200億ポンド規模の増資が必要と指摘されている。
こうした中、ノーザンの保有資産を有利に取得しようとする動きも出てきた。サンデー・テレグラフ紙は、大手ファンドのサーベラス、シタデル、著名投資家のクリストファー・フラワーズ氏が、ノーザンの住宅ローン債権約1000億ポンドを取得し、満期まで保有して利益を上げる計画を検討していると報じた。
フラワーズ氏は米ファンド、リップルウッド・ホールディングスのティモシー・コリンズ氏とともに、経営破綻(はたん)した日本長期信用銀行(現・新生銀行)を買収し、新生銀行の上場で利益を上げたほか、欧州でも金融分野で複数のM&A(合併・買収)案件を手がけた実績がある。
23日にはノーザンが4~9月期株主配当を検討していることが明らかになった。配当を受けるためには28日までに株主名簿に名を連ねる必要があり、同行は同日までに配当方針明示を求められている。法的には経営危機の金融機関は配当を無理に行う必要はないものの、配当により株主からの批判をかわす可能性を探っているとみられる。
緊急融資や預金全額保証など政府の保護を受けたノーザンが配当すれば納税者の批判を集めるのは確実。公的資金を投入した90年代の日本の金融危機と同様、ノーザン処理は政治色を帯びつつあり、民間の買い手が見つからない場合は、一時国有化などの議論も出てきそうだ。