三井住友海上は意向確認書を電子化
多額の保険金不払いが判明し保険業界の契約者保護に対する姿勢が問われる中、不払いの要因となった契約者の請求漏れを防ごうと保険会社が動き出した。
≪書式を12種類に≫
住友生命保険は15日から、契約者が保険金を請求する際に保険会社に提出する診断書をオーダーメード化し、記入欄を、その契約者にとって必要な項目に絞ることで医師の記入漏れを防ぐ。これにより、保険金給付の迅速化を図る。一方、三井住友海上火災保険は24日から、契約しようとしている保険商品がその人のニーズに合っている内容であることを確認する「意向確認書」を電子化。契約者はその場で保険商品の内容を確認できるようになる。ともに生損保業界では初めての取り組みという。
これまでの調査で、請求漏れなどにより生保業界で910億円、損保業界で400億円に達する不払い額が判明している。商品が複雑化しているにもかかわらず、保険金は契約者からの請求がなければ払わないという「請求主義」が根底にある。この反省から、生損保各社は販売時の説明や契約後のフォローを重視する態勢に改め、契約者の信頼回復を目指す。
住友生命は、これまで1種類しかなかった入院・手術給付金の診断書の書式を12種類に増やすことにした。
従来は、契約者から給付金の請求を受けた際に、保険会社は統一された書式の診断書を送っていた。今後は、契約者の請求内容や契約内容をコンピューターでチェックして必要な項目のみを記した診断書を自動的に作成する。例えば、胃潰瘍(かいよう)で入院した人の診断書には、まったく関係のない脳卒中や心筋梗塞(こうそく)の給付金請求に必要な記入欄を省く。これにより、効率的な診断書の記入が可能になる。
診断書の改定は、契約者から給付金の請求を漏れなく受け付けるためのシステムが10月に稼働することを受けて実施する。顧客から給付金に関する照会や請求があった場合に契約内容に応じて請求の案内をする「案内システム」を利用して、必要な診断書の抽出ができるようになった。
≪顧客管理も容易≫
一方、三井住友海上は、意向確認書面にかかわる一連の手続きを電子化する。これにより、契約者は代理店のパソコンかPDA(携帯情報端末)で「契約内容は希望通りか」などの確認事項をチェックし、最後に専用機器で電子サインを行う。
従来の紙の意向確認書面と違って、契約者ごとに必要な確認項目のみを画面上に表示。また、記入漏れなどがあった場合には確認作業ができなくする仕組みになっていることから、契約者の利便性が向上するとしている。三井住友海上にとっても、電子化することで契約者の意向確認記録を管理しやすくなる。
当初は主力商品の自動車保険で運用し、将来的には火災保険や傷害保険など他種目にも広げていく。約5000の主要代理店に電子化システムを無償で提供し、その後は取扱代理店を順次増やしていく。
意向確認書面制度は、今年2月に金融庁の監督指針が改正されたことに伴って導入された。保険金不払い問題の対応策の一環で、「加入目的や保険金額・保障期間が希望通りか」などをチェックすることで契約した保険の内容に関する理解度を確認する。どんな内容の保険に加入しているか分かるため、請求漏れなどを防げるという。