王子と三菱製紙 対立関係が一転、情報用紙で業務提携

製紙業界最大手の王子製紙と中堅の三菱製紙は20日、資本・業務提携すると発表した。王子が三菱製紙の実施する第三者割当増資を約18億円で引き受け、2・34%を出資する。

 王子が昨年8月に北越製紙対し、敵対的TOBを仕掛けた際には、三菱製紙に出資する三菱商事が北越支援に回り、王子と対立した経緯がある。製紙業界では昨年以降、北越が日本製紙、大王製紙と相次いで提携するなど、“反・王子連合”を形成する形で再編が加速した。今回、対立関係にあった王子と三菱が手を組んだことで、製紙業界の再編が新たな段階に入る可能性もある。

 会見した三菱製紙の佐藤健社長は、王子との関係について「あくまで情報用紙事業の効率化に限定する」と語った。

 両社の業務提携は、伝票などに使われるノーカーボン用紙や感熱紙という限定的な範囲にとどまっている。

 三菱製紙は来年中をめどに王子からの増資資金を活用し、ノーカーボン用紙を製造する高砂工場(兵庫県)と八戸工場(青森県)の年産能力5万トンを増強。王子製紙にOEM(相手先ブランドによる生産)供給する。伝票の電子化によりノーカーボン用紙市場は毎年数%の縮小が続いており、市場シェアでそれぞれ2割を占める両社が手を結ぶことで、「効率化により収益力を高める」(佐藤社長)ことを狙っている。

 さらに三菱製紙は、王子製紙が能力増強しているタイ子会社に約10億円を出資。アジアで需要が堅調な感熱紙のOEM供給を受け海外事業を強化する。

 ただ、業界でも、両社の組み合わせは、意外感を持って受け止められている。

 三菱製紙は2005年に王子系列の中越パルプとの合併でで合意したが、販売政策の意見の食い違いなどから白紙撤回。勢力拡張を狙う王子に反発してきた経緯がある。

 さらに昨年、王子が北越に経営統合を持ちかけた際、三菱商事が北越の第三者割当増資を引き受け、北越を支援。これが王子が敵対的TOBに踏み切るきっかけとなった。

 王子の強引な手法への反発から、日本製紙と大王製紙も北越株を取得し支援。その後、それぞれ業務提携しており、反王子を軸に製紙業界の再編が一気に加速した。

 今回の王子と三菱の提携は、市場参加者が少ない限定的な分野であることが最大の要因。三菱の佐藤社長は会見で「単独で生きる」と強調した。ただ、対立関係を乗り越える形での提携が、新たな合従連衡の呼び水となる可能性は否定できない。