野村ホールディングス(HD)の米国法人、米国野村証券が11月末に、米国債を円滑に発行・流通させる役割を担う政府公認ディーラー(プライマリーディーラー)の資格を返上したことが3日、分かった。野村は、低所得者向けサブプライム(高金利型)住宅ローン問題に伴い巨額損失を計上し、米国での事業展開を採算性の高いものに絞り込んでおり、撤退を余儀なくされた。
同日開いたIR(投資家向け広報)説明会で、野村HDの古賀信行社長は、資格返上に伴うビジネスへの影響について、「(資格を持つことによる波及効果は)非常に限定的。連鎖して考えがちだが、一定の範囲内で影響は収まると判断している」と強調した。
野村HDは、購入したローン債権を証券化し、投資家に販売する住宅ローン担保証券(RMBS)事業を展開してきた。しかし、住宅ローン市場の悪化に伴う一連の損失が2007年1~9月期累計で1450億円を超えるとともに、7~9月期決算も最終損益が105億円の赤字に陥った。
このため、RMBS事業から完全撤退することを決めると同時に、米国での人員を来年3月末までに今年3月末比約400人減の約900人に削減。収益性の高い分野に経営資源を集中している。これにより、9月中間期で約1200億円の税引き前赤字となった米国事業について、09年3月期には黒字化できる見通しという。米電子取引の子会社、インスティネットの収益拡大などを見込んでいる。
米国債のプライマリーディーラーは、国債の入札に参加できる代わりに、一定額の引き受けを義務付けられる。米国債のディーリング業務は競争が激しく高い収益が見込みにくいことから、同事業を見直すことにした。野村HDは今年度内に米国事業の「選択と集中」にめどをつける方針で、今後、こうした取り組みを加速させる考え。